原音優先の規則
固有名詞等の表記は原音になるべく近いカナ表記を原則とします。
原音と異なるカナ表記が広く通用している固有名詞等については、括弧書きで通用表記を示します。
原音と異なるカナ表記が非常に広く通用している言葉については、原音になるべく近いカナ表記を採用せず、通用表記のみを表記します。クメール語で該当するのはたとえば以下のとおりです:
シーハヌ→シハヌーク
シーハムニー→シハモニ
ムニーヴォン→モニボン
ノローッドーム→ノロドム
シーソヴァット→シソワット
フン=サエン→フン=セン
プノム=ペニ→プノンペン
転写の規則
原則として音韻転写ではなく音声転写を用います。
(例)[音韻転写]プーミ(村)→[音声転写]プーム
ただし二重母音ieと二重母音eaは、プノンペンなどの方言ではどちらも同じ発音ですが、音韻を優先して、それぞれ「イエ」「イア」と表記します。
(例)シエムリアプ(地名)
長音と単音を峻別します。
(例)ヴァン=モリヴァン(人名)→ヴァン=モーリーヴァン
末子音hは、通常の日本人の耳にはほとんど聞こえないので、表記しません。
(例)meas(金)→ミア
末子音声門閉鎖音は、通常の日本人にはほとんど感知できないので、表記しません。
(例)Vatanak(人名)→ヴァタナ
頭子音のvは、ワやバではなくヴァと表記します。末子音のvは、ウと表記します。
(例)チローイ=チョンヴァー(地名)
(例)プニエウ(客)
二重子音の第一子音ch・chhは、チュでなくチと表記します。
(例)コンポン=チナン(地名)
二重子音の第一子音t・thは、トゥでなくトと表記します。
(例)トモー(石)
末子音chは、イやッイでなくチと表記します。
(例)アエカリアチ(独立)
曖昧母音は、短母音の場合、ウやエやオでなくアと表記します。長母音の場合、アやオでなくウと表記します。ただしベトナム語の曖昧母音の長母音は、強力な慣例に従いオと表記します。
(例)バット(閉める)
(例)ユーン(我々)、タン=ソーンニャット(ベトナムの空港名)
二重母音eiは、アイでなくエイと表記します。
(例)ベイ(3)
頭子音rは、プノンペンなどの方言ではハの発音ですが、ラと表記します。
(例)リエル(通貨単位)
二重子音の第二子音rは、プノンペンなどの方言ではエになったり、省略されたりして、声調がつきますが、ラと表記します。
(例)セアイ→スレイ(女)
(例)ソック→スロック(邦)
siはスィでなくシと表記します。
(例)シー(食う)
ti・thi・tu・thuはチ・ツでなくティ・トゥと表記します。
(例)ティエト(もっと)
(例)トゥー(箱)
長母音・二重母音の後に末子音がある場合、間に「ッ」をはさみません。
(例)トゥーク(舟)
(例)ペアク(着る)
aの後に曖昧母音が来る二重子音は、アウでなくアアと表記します。
(例)バアク(開く)
末子音nhは、ンやンニュではなくニと表記します。
(例)チガニ(おいしい)
頭子音ngは、ングでなくグと表記します。
(例)ゴアプ(くたばる)
二重・三重子音の途中に一部方言でタイ語のように挿入されるア音・一字再読は表記しません。
(例)マリ→ムリ(ジャスミン)
(例)サットレイ→ストレイ(女性)
区切りの規則
人名・地名等の中の区切りには「・」でなく「=」を用います。
(例)コンポン=チャーム(地名)
(例)シン=シーサモット(人名)
「・」は複数項目の併記に用います。
二重姓(クメール人にはないが)や関係の区切りには「=」でなく「-」を用います。
(例)カンボジア-ベトナム友好碑
それ以外の区切りには半角空白を用います。
数値表記の規則
1万以上の数字については、英語圏の千進法におもねらず、日本語の万進法によって表記します。
(例)123,000名→12万3000名
ただし千、2千~9千ちょうどについては漢数字「千」を用います。
(例)3千、3400
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