2016年7月11日月曜日

カエム=レイ氏殺害、沸騰する世論、世界も注目、状況に多くの不自然指摘も

 昨日朝9時半頃プノンペン都内ボーク=コー交差点のガソリンスタンド「カルテックス」内のコンビニ「スター マート」で買ったコーヒーを飲もうとしたところを射殺された民間政策団体「クメールのためのクメール」カエム=レイ代表の遺体は、大勢の支持者とともに昨日のうちに、チローイ=チョンヴァー区バック=カエン町のポーイアリアム寺(通称クデイ=チャ寺)へ到着した。

 事件はカンボジアの世論を大きく喚起している。

 世界的な注目も高く、多くの国際的メディアが事件を報じており、「BBC ワールド ニュース」は昨日、30分に1回の頻度でこの事件を伝えた。

 カンボジア政府のパイ=シーパーン広報官は、容疑者でタイ在住の男が、知己であったレイ氏から1年以上前に、貧しい人々を助けるために使いたいと言われて3千ドルを貸したが、その後そのお金がそのように使われておらず返済もされなかったことから殺害を決意した、と供述していると発表したが、信じる者は少ない。

 氏の家族は、氏は100リエルたりともお金を借りたことはないと話している。

 容疑者が氏を射殺後に、仲間がバイクで逃走したので脚で駆けて逃走したのち、20分後にスヴァーイ=ポペー寺で身柄を確保された、とされていることについても、その「健脚」ぶりに驚きの声が挙がっている。同寺はソティアロ通り沿いイオンの向かいに位置している。

 容疑者の素性についても、事件直後、IDカードの写真とともに氏名が報じられたが、その後、政府は、「殺すために会う」という意味の「チュオプ ソムラップ」という明らかに人名ではない呼称を容疑者の「おそらく本名ではない名前」として発表、本名を目下明かさない方向へ転じている。

 容疑者の供述映像が事件後わずか数時間で公表されたことについても、手際が良すぎるという疑りの声がある。

 また、氏の親族や仲間は、最近氏が生命の危険を感じていることを表す言動を繰り返していたと証言している。氏の身の安全について氏に懸念を伝えていた仲間もあったという。

 氏の妻は、氏が殺されたのは政治的理由に違いないと訴えている。妻はバン=ケーンコーンで服飾店経営、氏との間に4人の子があり、5人目を妊娠中。氏がいつものモーニングコーヒーを飲みに行く直前、市場で車を下ろしてもらったのが夫との最後になった。

 なお、このボーク=コー交差点のスター マートのコーヒーについて、あそこは確かに美味い、氏はコーヒーを良く知っている、との賞賛の声も出ている。

 国連のマイ=キアイ自由・結社権特別報告者は氏の殺害について「彼の政府批判の立場と、首相一族のビジネス帝国に関するグローバル ウィットネス報告についての彼の最近のコメント群に照らして、諸状況はあからさまに怪しい」と述べ、「迅速・徹底かつ独立した調査の必要がある」と声明した。

【2016.7.11 09:19追記】
 さらに、容疑者が供述した内容に対する疑問点として、「タイに出稼ぎにいくような経済状況にあるカンボジア人が、『貧しい人を助けるため』に$3000も貸すのは不自然」や、「拳銃を買うのはカンボジアででも容易にできるのに、購入が難しくリスクが高いタイで購入したと言っているのはおかしい」、また「犯行に使った拳銃が殺傷力の高い高価な拳銃で、出稼ぎ労働者が購入できるような値段ではない」ということが指摘されている。

http://www.phnompenhpost.com/national/longtime-rights-champion-kem-ley-gunned-down-broad-daylight


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